ポジショナル・リリース・セラピー
- 作者: Kerry J. D'Ambrogio,George B. Roth,櫻井京
- 出版社/メーカー: 科学新聞社出版局
- 発売日: 2003/03
- メディア: 単行本
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ジャンル | 難易度 | 習得期間 | 体力消費量 | 時間 |
オステオパシー | 中 | 主要筋のみなら比較的短期 | 低〜重労働 | 低〜長時間 |
本稿記入:2014年10月18日
私のおすすめ度:(10段階中)5
私はポジショナル・リリース・セラピーというよりも、ストレイン・カウンター・ストレインというオステオパシーの手技として、はじめはこちらの手技療法を学んでいった。だから、ポジショナル・リリース・セラピーと言われても、、、ピンとこないのだが、、、。−0−;
私が施術を始めた当初。
マッサージしか頭になかったときに、こちらの用法を知った時は、衝撃的でした。
魔法のようにリリースができてしまえたという実感を得て、体中のリリースを試した記憶があります。
概説:場合によりますが、即効性の期待できる強力な筋肉の硬化を緩める手技テクニックのひとつです。
ですがあまりにも硬化が進んでいる部位に行っても、さほど成果は期待できない。
炎症している筋肉がピーンと張っているとき。触ると、めちゃくちゃ痛い。
ですがその筋肉をたるむように緩めるポジションに持って行くと、その痛みがずいぶん軽減していることに気づくだろう。
問題ある特定の筋肉がたるませられるよう緩むように施術者に治療ポジションへと誘導されると、テンダー・ポイントと呼ばれる特定部分の痛みが消失または軽減する。
テンダー・ポイントの痛みが、改善されなければ目的の筋肉を緩ませるポジションをさらに工夫してたるませゆるませていく必要がある。
このテクニックの特徴として、大腰筋などの深層筋も緩ませるポジションへ誘導して治療ができる。
圧をかけて緩めようとするマッサージでは、深層筋にアプローチするためには、表層筋や中層筋などの障壁となる部分をゆるめてからでなければ手が出せないのだが、ポジショナル・リリース・セラピーの手技ではそこをクリアしてリリースをかなえられる点は特筆に値するだろう。
そして腕や肩の筋肉や肋骨部分、それに頚椎など圧をかけるマッサージでは痛みだけでなく、
時として危険を強いるようなリリースが行われそうなことがあるのだが、
ポジショナル・リリース・セラピーのテクニックでは、それらのネックを大胆に軽減させてくれる。
それゆえにお客さまにとってみれば、気持よく緩められているだけでリリースが進むのがうれしい。
そうやってこの手技の利用を先行させて患部を緩めてから、
その後にさらに深部まで解こうとするマッサージをおこなうことで成果をだせることがある。
(注:ポジショナル・リリース・セラピーをしたら、その後はマッサージ等はいけないと、
そのように主張される方もおられるのですが、それもまたケース・バイ・ケースだというのが臨床上いえることです。)
テンダー・ポイントの痛みが軽減した状態を90秒保持したままにする。
一応のこと90秒という時間設定がされているようなのだが、
脳脊髄液の流れを察知できる手を持つことができているなら、
リリースが十分になったときに時間経過に関係なく脳脊髄液の脈動を感じられる。
短時間であってもそれで十分な成果がでたと認識することができるのだが、
逆に考えれば90秒保持してみたとしても
脳脊髄液の脈動が起きていない状態では一定時間の経過をしたとしても、元への戻りが早いようである。
それでよしとするのは問題があると感じています。
お客様の状態が、少しだけ悪い程度なら短時間にリリースが起きたり、
状態が悪化しているところが根深いならば90秒程度で脳脊髄液の良好な脈動を感じられることはない。
まさに時間はケース・バイ・ケースですから、時計で時間をはかることを優先するよりも、
リリースされた状態を察知する感性を磨くよう観察力を強めることに集中した方がいい。
初心者として学ぶ際に便宜をはかるため、
90秒保持というのを一応の目安と教えたと考えるようにしたほうがいいだろう。
また頚椎部分のリリースをこの手技で行う際に、脳脊髄液の流れをモニターしているとき。
脳脊髄液の改善が起きた瞬間に、お客様が意識を失うことがある。ただそれで何か重篤な状態が起きたというわけではなく、その無意識になった状態に、体の内側のストレスを発散させようと、意識を失っている状態下で動きがあらわれることもある。たとえば、常に奥歯をかみしめている人であれば、歯をガチガチッと上顎とした顎のぶつけ合いをする。また手足が勝手に動き出してしまうこともある。微細な痙攣を起こしているようなときもある。なかにはまぶたを開いたり閉じたりを繰り返されているのだが気づかないという人もおられました。これは錐体外路系の自身の内部にあるストレスを発散させようとする反射的な動作で、問題部分のストレスが軽減すれば止む。ただ問題が大きくなりすぎて体内に蓄積されている方々は、内部の負担を発散させて状態をリセットさせるような反応を起こすような余裕がないため、あまりそのようなことは起きないようです。
そしてこれは頸部のリリース以外でも、この手技をするときにこのようなことを起こすことができるようだ。
交感神経の過剰な働きを抑制して、副交感神経のリラックスモードにして体を癒やすように変えることができるので、とても重宝します。
このようなことは頭蓋仙骨療法を、みっちり学んでいたことが幸いして、施術の根幹部分が相容れた感じで生きたということで起きたことです。頭蓋仙骨療法を、執念で学びとったその手でおこなう手技ならば、このようなことは意図的にもおこすことはできるでしょう。
リリースが終了した後、極力ゆっくりと丁寧に体をもとのニュートラルなポジションに戻していく。体を戻すときに、がさつに動かして戻そうとするならば、せっかく緩んだものが、台無しになるので注意が必要です。
本書では、ほぼ全身の主要な筋肉や関節等へのアプローチが網羅されていて、写真及びイラストでテンダー・ポイントの位置が確認しやすく工夫され、手技のシーンは写真とときには必要に応じて力のかかる方向を矢印で示している。
メリットとして、
痛みのない状態で姿勢をキープされれば目的の筋肉がゆるみだすというものですから、施術を受ける患者様の身体的苦痛を耐えなければならない負担感が少なくてすむメリットは大きい。
この療法の原理を捉えれば、自身で緩めることができる筋肉の部位もある。それらはホームプログラムとして、目的の筋肉を緩めるための用法をお客様に伝え、自分で椅子やバランスボール等を利用してリリースをしていただくようアドバイスをすることができる。
ただホームプログラムで注意すべき点は、患部が硬化が著しいとき大方が、2〜3度と同一手技を繰り返さなければならないこともあるが、
同一ポイントをそこだけリリース深度を深めすぎると体の全体の調和バランスが乱されて、
かえって体調不良の原因となり悪化する恐れが出てくる。
やり過ぎは問題があるので注意が必要だ。
デメリットとしては、
非常に時間を食う手技だ。
私は以前は、この手技を多用することで過半数をリリースする時間として当てていたが、正直に言って、全身リリース用として利用するには、どれだけ時間があっても足らないと感じました。
だからピンポイントで数カ所3つくらいまでの対処なら良いでしょう。
それ以上の箇所にこの手技を加えなければならないときには、
十分な施術時間を確保しているような治療院でなければ難しいだろう。
術者としては、
不自然な姿勢で長時間、お客様の体を支え続ける状態を保持するため、
非力であれば相当に身体的な負担の蓄積が及ぶ。
私もこの手技での姿勢の固定を数分以上つらい状態で保持していて、上腕部や大胸筋部分を固めてしまい夜に寝るときに呼吸ができなくなってうなされ続けたことがあった。
かなり以前にはこの手技を多く取り入れていたときは、まったくの平らな床の上にヨガマットを敷いた状態で、過剰にうつ伏せるような姿勢を十時間以上、続けていたことになった。
今考えれば、膝下くらいの高さのローポジションベッドがあれば、快適にこの手技をとり行うことができただろう。
またしこりの硬化が著しく進んでいるときは、
ポジショナル・リリース・セラピーの本書の掲載しているノーマルな手技だけでは、弾かれてしまってリリースが思ったほど起きなくなっている。
その状態で繰り返してみても、あまり埒が明かないから、やり方をさらに工夫し発展させて対応するべきであろう。
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(私なりの工夫)
- 作者: 大谷素明
- 出版社/メーカー: 医道の日本社
- 発売日: 2003/07
- メディア: 単行本
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http://www.idononippon.com/dvd/massage/ivd0116-7.html
このテクニックは、
ゆらし運動を駆使して関節や軟部組織を刺激することで、体のゆがみを正し、
体のバランスを調節するテクニックを考案した。それがハーモニックテクニック。
亜流と呼ばれそうですが、ポジショナル・リリース・セラピーの際に、
私は揺らしのテクニックを部分的に利用して成果を向上させています。
ポジショナル・リリース・セラピーに精通してくると、
一箇所のリリースをするだけではなく、
同時に2つまたはそれ以上の箇所のリリースができるよう、
やり方を工夫して時間短縮と成果倍増に務めます。
同一経絡上の筋肉を2点同時にリリースを図ると、
そのリリースの深さは一点リリースではありえないほど、すばらしい成果をあげることがあります。
本書の写真どおりの姿勢や要領を変えずにやり続ける先生もいるかもしれませんが、
私の知るところでは、本書がでたのはもうかなり前になりますので、施術技術は日進月歩で進むため、テキスト通りのリリースで臨床現場で留まっているようなことは、まずもってありえません。
より効率的に効果性を高めてという工夫をして進化させるのが当然で、実地力と基礎を本書から数年かけて学びとった後には、独自に工夫をいれていくのが自然な流れかと思います。
(不正確なやり方しか身についていない人が、全体像がわからないうちに工夫を入れても、後々問題が出てくる危険があるので、それは自重すべきです)
別の要領の付加としては、
お客様の呼吸のリズムを読み、
揺り動かすリリースで動きを違和感なく呼吸のリズムに合わせて誇張させることで、
さらに成果を拡大させることもできるようです。
お客様へ手を延ばし触れる際に、
武道などを嗜んでいるものがソフトに包み込み吸い付けるようなタッチを心がける。
そのようにするとお客様の体を任せられるかどうかという判断からだけでは語れないリリースの深さが増す。
またそのようなタッチをもとに体を操作するならば、
どのようにされたら緩むのかをお客様の体自身が語り出すよう動きがでてくるので、
その動きに導かれるように操作をしていくようにすればいい。
たとえば腕や足のリリースなのでは、
どのように関節をわずかに捻るようにすればいいか、肘や膝の詰まり部分との対話を通して、
反応を聞き分けるようにすると、シュッっと緩み息の入りようが変わっていくこともわかる。
そして同一姿勢をずっと保持し続ければいいわけでもなく、手技で緩みだしていくに従い、
リリース目標部分の設定箇所を瞬時に変えていく。
それに伴いホールドさせる姿勢を、少しずつ移行していくのだが、そうしていくことで、
ひとつの問題ある硬化した筋肉の端から端までを順繰りにゆるめていくことができます。
または、わずか数ミリの圧のかける方向の違いでも、
リリースが理想的な状態へまで押し上ることができる。
平均的な成果で終始するのかの差は大きいといえます。
非常に繊細なコントロールが生きてこそ、
この手技の真骨頂は語れるようになる。
本からだけでは、そのような感触はなかなか得られるものではないと思います。
どれだけ工夫をして自分流にアレンジするかです。
ポジショナル・リリース・セラピーをわざわざしていると宣言しなくても、
それとなくお客様の体をリリースポジションへ移行させてしまい、そのうえでマッサージをかけていくようにするということで、お客様の痛みの少ない状態でさらなる深部層へとリリースの深さを増していくことができます。
また他に、私が所有している関連書籍として。
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- 昔に出版され、再販されていないため、アマゾンの書影もないのだが、私が最もよく学んだのはこの一冊です。
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- 作者: アレクサンダー・S.ニコラス,エヴァン・A.ニコラス,Alexander S. Nicholas,Evan A. Nicholas,赤坂清和
- 出版社/メーカー: 医道の日本社
- 発売日: 2010/08
- メディア: 単行本
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- カウンターストレインテクニックがいくつか紹介されております。主要なものが含まれていて、これを学ぶだけでもかなり使えるでしょう。ただこの本だけでは、技術の根幹部分の理解は不十分かもしれません。
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- 作者: ジョン・C.グローバー,ハーバード・A.エイツ
- 出版社/メーカー: たにぐち書店
- 発売日: 2001/01
- メディア: 新書
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- 個人的に、買ってみたものの、内容的に腑に落ちない点を感じたりするものや、他の本の方が優れているため、ほぼ、死蔵しております。。。
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などがあります。